にわか寄席席亭

今から十数年前、私の住むマンションの自治会役員から、「コミュニティイベントとして落語会か何かの楽しめるイベントを計画して貰えないか」との依頼が舞い込んだ。これが久しぶりに落語会を計画するきっかけだった。
久しぶりと言ったが、落語会を企画運営していたのは、落語研究会にいた数年間だけ、落研出身の噺家(柳家権太楼師匠)の真打披露落語会を当時の100番教室で開催したことと、落研の発表会である落語狂人会を都内のホールでやったことくらいだった。
マンションの集会室では、即席で高座を作る道具も無い。噺家は、どのくらいのギャラを払えば来てもらえるかも知らない。数人のメンバーで試験的に高座を作り、めくり台を作ってくれる人もいた。手探りで、明学落研出身の二つ目の噺家さん(今の春風亭柳枝師匠)に来てもらい、前座は、明治学院大と青山学院大の落研にやってもらった。マンションの住民と他の近隣自治会役員、中には小学生のお客様もいて観客は総勢50名。非常に喜ばれた。それが良くなかったのかもしれない。私は、落語会の企画を立てる新たな楽しみに目覚めてしまった。
2013年には明治学院同窓会から明治学院創立150周年記念の落語会の計画依頼が舞い込み、落研OBが中心となって明治学院大や明治学院中・東村山高出身噺家6名による落語会をアートホールで開催した。それ以後、自治会や商店街、飲食店での寄席を現時点で20回ほど企画した。席亭と言っても、にわか席亭であって興行や企画運営を業務にしているわけではない。
一般の人にとって、末廣亭や鈴本演芸場などの定席に行くのは、何かのきっかけがないとハードルが高いのかもしれない。そんな人のために、これからも計画することだろう。

明治学院大学同窓会 運営委員 山内 順一(落語研究会OB)