巨星落つ 千葉茂美先生を偲んで

 新年早々に大変残念な知らせがありました。日々届く年賀状を見ていたところ、そのなかに千葉先生の奥さまから届いた寒中見舞いのはがきがあり、昨年5月に千葉先生が86歳の生涯をとじられたと知りました。千葉先生は、本学名誉教授であり、多くの要職を歴任され、本学の発展に大きく貢献された方です。私は、学生時代に大変お世話になり、社会人になってからもご縁をいただいておりました。謹んでお悔やみ申し上げます。今号では、千葉茂美先生との思い出をつづりたいと思います。
 千葉先生との思い出はたくさんありますが、一番の思い出は「哲学シンポジウム」(以下「哲シン」)です。高校時代からの親友と千葉先生の論理学を受講することにしました。当初は「単位がとりやすい」という安直な理由での受講でしたが、千葉先生の人柄に触れ、千葉先生の魅力の虜になっていきました。そんなときに、「哲学シンポジウムのスタッフとして参加しないか」とお誘いを受けました。この哲シンは、山中湖畔にある明治学院大学セミナーハウス「湖北寮」にて行う1泊2日の合宿で、哲学(特に「愛」)について語り合うことはもちろん、キャンプファイヤーやダンス、スタンツ(即興劇)なども行う、とても楽しい充実した学びの場です。当時、哲シンに参加すると単位がとりやすいという噂があったため、大変人気で抽選となるほどでした。私たちは、単位よりも先生のお手伝いをしたかったため、二つ返事で引き受け、参加することとしました。
 1泊2日の哲シンでは、真剣に「愛」について語り合いました。これほど「愛」について語り合ったのは、後にも先にもこのときが一番かと思います。そのなかで千葉先生から学んだことは、聖書にも出てくる「隣人愛」です。「相手に愛してもらうにはます自分から」ということを気づかせてくれました。これは、いまも私の人生訓になっています。哲シンでは、もう1つ素敵な再会がありました。幼稚園時代、幼心に好意をいだいていた女性に、12年ぶりに再会できたのです。その女性は、かわいい女の子から才色兼備の女性へと変貌していました。幼稚園時代の気持ちが再燃したのですが、女性は私のことは全く覚えておらず、片思いのまま、終わってしまいました。
 学生時代、今も大切にしている人生訓になるようなことを教わったのは、千葉先生の講義ぐらいかと思います。それだけに、千葉先生は、私にとってかけがえのない人生の師匠でした。今後学ぶことができないと思うと、大変残念でなりません。謹んで、ご冥福をお祈りいたします。

楢原 泰一(1998年法学部政治学科卒業)

哲シンスタッフの集合写真

哲シンスタッフの集合写真

千葉先生を囲んでの一枚(筆者が撮影)

千葉先生を囲んでの一枚(筆者が撮影)