島崎藤村と学生たちとの夏

「今月のつぶやき」の第1回目が私ということで、8年ぶりに執筆することになりうれしい限りです。
今回は2022年コロナ禍の夏、島崎藤村生誕150年「馬籠から白金・小諸そして白金へ」という映像作品の撮影のために、文連会「シネマ研究会」の学生たちと藤村ゆかりの地を訪れたお話をご紹介したいと思います。
この藤村プロジェクトは、明治学院同窓会から「シネマ研究会」へ企画制作を持ち込んだ昨年春頃からスタートします。
学生たちと同窓会で数回のディスカッションを経て、藤村生誕150年の記念すべき年に藤村作詞の校歌をテーマにし、偉大なる文豪の先輩の功績を改めて取材し、映像作品として学内はもちろんのこと、卒業生や社会に届けることとしました。
撮影を担当する学生たちはコロナの影響により、この3年間課外活動を思うように出来なかった現状がありました。
「シネマ研究会」はコロナ禍における3年間の文化創造活動の集大成として位置付け、このプロジェクトを明治学院同窓会と取り組むことになりました。
長野県小諸「藤村記念館」、岐阜県馬籠「藤村記念館」に撮影取材に行くわけですが、2022年春学期時点では、夏休みのサークル合宿開催は大学としては許可できない状況にありましたが、学生たちは合宿の必要性と感染予防対策案を学生部に粘り強く交渉し、夏休み前にようやく許可が出ました。


白金ロケ
まずは暑い日差しが降り注ぐ、白金キャンパス編の撮影です。
歴史資料館小杉義信さんの丁寧で詳細なる藤村の明治学院時代の紹介は、監督の物江颯太郎さん(当時3年)とキャスター学生の大場彩乃さん(当時3年)も、感銘しながらも小杉さんに食いつき撮影は進行していきます。
恥ずかしながら、私は藤村の自伝的青春小説「桜の実の熟する時」を撮影前に読んだ次第でした。THE ALFEEの高見沢俊彦さんが白金高校時代教師に、この小説を薦められ、その影響でのちのち彼らのアルバムに同名曲を発表していることも知りました。

小諸ロケ
そして8月25日、26日にロケバスをチャーターし、小諸・馬籠ロケに出発しました。
撮影スタッフは物江監督、大場キャスター他、主将で音声担当の石塚公輔さん(当時3年)、制作運営、照明担当の村木太郎さん(当時3年)、カメラ担当の火宮遼哉さん(当時2年)、スクリプト担当の橋口志織さん(当時3年)、助監督の大川優花さん(当時1年)のシネマ研究会精鋭メンバーと、学生たちをバックアップする同窓会メンバー6名で撮影は炎天下の中敢行されました。
藤村記念館の取材、そして藤村が英語・国語の教鞭をとった小諸義塾も撮影し、昼食は懐古園前の信州そばをみんなでいただきました。「藤村そば」なるメニューを食べたのも良い思い出になりました。


小諸藤村記念館では、学生たちの活躍がNHK長野放送局と信濃毎日新聞にとりあげられ、翌日大きなニュースになりました。
NHK信濃NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagano/20220826/1010023820.html

馬籠ロケ
小諸に一泊し、翌朝岐阜県中津川市馬籠に向けてロケバスは出発します。車中TVで前日の「シネマ研究会」の活躍が朝のNHKニュースでオンエアーされ、ロケバス内は否が応でも盛り上がります!今日のロケも期待が膨らみます!
藤村のふるさと馬籠宿に到着、早速機材を藤村記念館に搬入し打ち合わせ兼ねて昼食になります。記念館隣りの「大黒屋茶房」は藤村の初恋の人「おゆうさん」の実家でもあります。
「夜明け前」にも登場する「栗おこわランチ」をいただくことになりました。店の女性オーナーがご挨拶に訪れ、なんと英文科64年度生の先輩でした!藤村の初恋の人の子孫になるわけです!
そんな出会いもありながら、今日も馬籠藤村記念館で撮影は続きます。学生スタッフも疲れが出て来た感じです。同窓会メンバーも照明・音声コードの介助や水分補給でスタッフを応援します。記念館の見学者のご夫婦が「朝のNHKニュース見たわよ!」とうれしい一言にはげまされます。ここでも岐阜新聞の取材が有り、後日大きな紙面で紹介されました。
そして夕方に撮影が完了し一路白金に向かい、一泊二日の撮影旅行は終了しました。
まとめ
小諸・馬籠ロケは無事終わり、もう一日白金において、歴史資料館博物館実習の授業を撮影させてもらい、これで撮影は全て終了しました。
編集作業は物江監督と監修の明治学院同窓会企画委員会桑原清文さんが担当し、文連会グリークラブ現役学生による校歌も収録、作品のハイライトに効果的に使われています。
11月に作品が完成し、学内で上映会を開催して12月からはYouTubeで公開されています。
明治学院同窓会ホームページ
https://meigaku-dosokai.jp/?p=9666

島崎藤村生誕150年の記念すべき年に、後輩である私たち同窓会と学生たちで、藤村作詞の校歌をテーマに偉大なる文豪の先輩の功績を改めて取材し、映像作品としてみなさんに届けられたこと、とてもうれしく思います。
「若者たちに自分は何者なのか意識せよ。前に進みゆけ。」と藤村のメッセージが学生たちに届いたのでしょうか。
このプロジェクトの成果としては、シネマ研究会の製作の向上力はもちろん、学生たちの活動がメディアに取り上げられ、それらバックアップしている同窓会や明治学院の活動が広く伝わったことです。
さらに2023年1月には、明治学院大学 文化・芸術活動奨励賞を受賞しました。副賞の20万円おめでとうございます!今後の活動費として素晴らしい作品期待しています!
同窓会が学生たちに活躍のステージを提供し、シネマ研究会が見事に期待に応え成長し成果を出してくれた2022年の夏でした。

明治学院同窓会副会長 中野薫 (75年度生)