英会話の苦労話 第二部/最終回

二ヵ月ぶりの再登場です。前回は、日本語表現の中でも「四文字熟語」を英語に訳す話をしました。今回は、真逆バージョンで英語表現を日本語に訳す難題にチャレンジします。「難題」なんです!卒業後、英語の表現を考える日々が多くなり、一方、日本語の語彙を失うことが頻繁です(認知症の始まりかも´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)。外国企業に長く勤めますと、この問題はよりシリアスになります。

さて、前置きはこれくらいにして本日のテーマである英語から日本語に訳す苦労話に入りたいと思います。

 英字新聞を読んでおりましたら、「Both USG (the United State Government) and GOJ (the Government of Japan) could not help locking horns over the issue of gate assignments at Tokyo/Haneda Airport」「米国政府及び日本政府は東京・羽田空港におけるゲート施設の利用問題に角を突き合わせることのないように」としたヘッドラインでした。これは中国の故事に「蝸牛角上何事か争う=カタツムリ(蝸牛)が角を突き合わせる様な些細な事で争わないように」(出典は「荘子」です、「菜根譚」にも掲載されています。)がズバリ当たりです。この場合は、「日本政府も米国政府も蝸牛角上の如き些細な問題であるゲート施設配分で争う必要はないでしょう」いかがですか、表現と理解が深まりませんか。次に、“Giving the Past to the Future”これも英字新聞ニュースのヘッドラインからです。「過去を将来に与える(送る)」ですが、これも中国の故事である、「温故知新」でストライクです。それでは、もう一つ、今度は提携校であるHope Collegeの季刊誌からです。“Everything in Its Place”言葉だけで訳しますと「何物もその場所にあるべし」ですが、少し工夫して「身分相応」または「身の丈が合う」で如何でしょうか。

コツは、英語の簡単な表現を日本語の簡潔な表現に置き換えることです。長々と説明すると会話の軽快感を損ないます。

シリーズのしめくくりに、これからグローバル社会に躍り出る後輩たちに経験談を送りたいと思います。

外国人はジョークが大好きです。これもその一例です。私が37年勤めた米国の航空会社での出来事です。本社からの出向組をexpatriates/expats(駐在社員と呼びます、その彼らが何か新しい表現を覚えてきて、会議のbreak中に、「スズキさん、“Greasing the wheels(車輪に油を回す=>根回し)”」と言い始めたのです。瞬間に、なにやら新しい表現を覚えて私を実験台にしているなと思い、“You mean a process of building consensus(=>合意形成過程=根回し)と英語で切返し、見破りました。そもそも論ですが、”Greasing the wheels”の英語表現は存在しないのです。Expatsの連中は日本語の「根回し」を英語に直訳して英語表現に見せかけたのです。恐らく、彼らは、「この直訳表現で日本文化に精通している」と自負したかったと思います。私は彼らに、“you guys have a long way to go(smile).(まだまだですね。)めて会話レッスンは終了しました。

外国人が使っているから正しい表現とは限りません。正す勇気、上回る努力を忘れないで頑張りましょう。

我々明治学院の学生はヘボン先生の妻であるクララ夫人が開校した英語塾のDNAを継承する直系の門下生である。門下から、後に日銀総裁、総理大臣を務めた「高橋是清」を輩出している。彼の武勇伝は数々伝えられているが、彼が米国人投資家ジェイコブ・シフ(Jacob Henry Schiff)と英国・ロンドンで交渉し、日本の戦時国債を購入させたのも一例である。当然であるが、高橋はクララ夫人の英語塾で習ったネイティブ英語で交渉しているのである。大変おこがましいが、私も日本の外務省、航空局・国交省を相手に明治学院大学のRev.Dr.Gordon J. Van Wykそして、Prof. Mary De Jongから習ったネイティブ英語で仕事をしておりました。

英語は使って初めて価値があります。

11月の「白金祭」に大学同窓会は参加します。パレットゾーンでライブ・カフェをOpenし、1122日の「交流会」は愛好会との共同企画で開催します。多くのOBOGの方々の参加を期待しています。そして現役明学生との交流の場を盛り上げます。

待っています!

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                  運営委員 鈴木 政夫(1972年経済学部商学科卒業)
                              Hope College同窓会会員