静穏なセカンド・ライフ

2016年12月31日、日経225社のひとつであるプラント建設会社を64歳で定年退職。海外駐在6ケ国延べ25年。語学力とマネジメント能力を評価されての海外長期勤務でした。1970年代、日本の企業は海外進出の黎明期で、来るべきビジネスのグローバル化へ企業も個人も備える努力をしていた時代です。

会社の海外派遣人選において、明学英文学科で培った語学力が大きな支えになったことは間違いありません。大学では英語学カリキュラムにて実用英語を研鑽し、英文学で教養を高める。竹中治郎先生の「英語音声学」、園部治夫先生の「英語購読」、金子稔先生の「英作文」、郡司利夫先生の「言語学」、そして都留信夫先生の「演習」で「ジェイムズ・ジョイス」を学んだことが、その後の人生で大いに役立ったように思います。

在学当時、明学には「MG5」という用語が学生の間で存在しました。資生堂の男性用化粧品「MG5」になぞらえ、「Meiji Gakuin1年留年して5年で卒業」するという意味です。

因みに化粧品の「MG5」は「Modern Gentlemen」の頭文字と5つの特長からの命名だといいます。単位評価が厳しかった郡司利夫先生の必須科目を落として「MG5」になった友人も少なからずいましたが、私は努力の甲斐あって「MG4」で卒業です。

 サラリーマン人生最後の勤務地はインド。勤務会社のインド子会社(社員950名)代表を14年間務めました。

公私ともに充実したインド体験を記録しようと拙著『駐在員のインド漫録』(2010年刊)と『続・駐在員のインド漫録』(2012年刊)2冊を文芸社から出版。それぞれ増刷完売しました。

ニューデリーにある「Mittal Teas」は『地球の歩き方』にも紹介されている純正・良質のインド紅茶を販売する有名な専門店。そのオーナーであるヴィクラム・ミッタル氏とはインド赴任以来の交流です。

インド駐在時、ダージリン、アッサム、ニルギリ、シッキムのインド4大紅茶産地の新茶が入荷するたびに、氏より勤務地の西インド・グジャラート州バローダに届きました。休暇を利用し、氏の紹介で生産地の紅茶園(Tea Estate)も訪問。紅茶の知識も深まり、ミッタル氏との信頼関係も構築することができました。

インドからの帰任が決まり、サラリーマン生活を引退することをミッタル氏に伝えると、彼自身が販売する「Mittal Teas」を日本で広めて欲しいと。その要請を受け、「Mittal Teas」との日本総代理店契約締結のもと、インド紅茶専科「Mittal Tea Room」を神奈川県相模原市にある「相武台グリーンパーク商店街」で開業。土・日・月の週3日営業で、純正ダージリン紅茶を始め本物のインド紅茶をホームメイドのケーキとクッキーでご来店の皆様に楽しんで頂いています。

趣味をエンジョイする正に静穏なセカンド・ライフです。 

(井上清美(1976年大学II部英文科卒)