ギラギラと照りつける太陽の光と湿った空気に包まれるこの季節になると、学生時代の夏休みのことをふと懐かしく思う。
試験が終わると周りの学生達は一気に休みモードになり、休み中の旅行やバイトの話しに華を咲かせていたが、私はちょっぴり複雑な気分になっていた。
というのも、私が所属していた体育会合気道部では夏休みの間に行われる夏合宿が年間の活動の中で最も長く厳しい練習が行われるからだ。
1年生の時には、この夏合宿を乗り越えてこそやっと部員として認めてもらえるということを聞いていたので、いったいどんな厳しい練習が待っているんだろうと未知の世界への不安でやたらドキドキしていたものだ。上級生になってからは、後輩たちの前で先輩として情けない姿は見せられないと、暑苦しいくらいに張り切っていた気がする。
今思えばものすごく他愛ないことだが、当時の私にとっては真剣な問題であって、ひと夏を終える度になんとも言えない安心感と充実感を味わったのだった。
もはや甘酸っぱい恋の味は忘れてしまったが、合宿中に旅館で食べたキュウリの冷たい味噌汁の味と練習後にみんなで食べた程よく冷えたスイカの味は今も忘れることができない。
98年卒 W 結城章子
注)~結城章子さんのプロフィール~
つくば市出身。明治学院大学卒業後、福祉の道に進むが、ジャズシンガーとして転身。
スタンダードナンバーを主なレパートリーとして「スウィング」等の都内の有名ライブハウスに出演。現在は福祉の仕事を再開し、両立している。