「縁」こそ財産

 皆様あけましておめでとうございます。落語家の春風亭正太郎と申します。
 20世紀最後の年に明治学院大学に入学し、卒業から2年後の2006年に同じく明学出身の春風亭正朝に入門しました。そして今年3月に真打昇進並びに九代目春風亭柳枝を襲名する運びとなりました。多くの先輩後輩からお祝いのお言葉を頂戴しました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。改めて明学の温かさを知る今日この頃です。本当にありがとうございます。
 僕が明治学院大学を受験した理由は、子どものころから大好きな絵画や映画の理論を勉強できる芸術学科があったということと落語研究会があることが理由でした。無事に合格し、入学して念願の落語研究会(通称:落研)に入部しますが、当時の落研は落語を演じる人も殆どおらず、コント漫才中心のお笑いサークルでした。もちろん僕はコントも漫才も好きですが、あくまでやりたいのは落語です。ちょっとがっかりしたのは覚えています。お笑いライブではコントも漫才も演じながら落語をたまに演じるという落研活動でした。今思えば、あの時コントや漫才をやっておいたのが今となって多少なりとも活きてきている気がします。先輩も仲間とも仲良く楽しい4年間を過ごしました。
 落語研究会会長を務め、その後愛好会協議会というサークル統括の組織で他のサークルの会長さんたちとも交流を深めました。学科の友人たちとも現在も年に1回ほどではありますが集まって飲み会を開催しています。入門の際には落語研究会顧問の嶋田教授が師匠の正朝にコンタクトをとってくださり、先生とは今も連絡を取り合っています。そう考えると卒業後も皆さんと繋がりがあるというのはとても幸せなことだなと思います。
 この商売をしていて殊に感じるのですが、本当の財産は人の縁だということです。コロナの中で真打昇進の準備はとても大変です。多くの人に今助けていただいています。落語界の楽屋の仲間たちはもちろんですが、旧友や明学の先輩方が僕のために動いてくれます。真打昇進披露パーティーには明学の多くの友人や仲間も出席してくれることになっています。改めて皆さんとのご縁があってだと感謝の日々です。そんな人と人との繋がりや温かさを噺に表現できる落語家になりたいと思います。少しでも皆さんに恩返しができるように、江戸時代から続く名跡を私でさらに大きくできるように、精進する次第です。まだまだ未熟ですが末長くご贔屓お願いいたします。
2020年去年は大変な年になりました。100年に1度の厄災だったのでしょう。もちろんまだコロナ禍の真っただ中ですからどうなるかわかりませんが、今年こそ明るい年になると信じております。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
                            2004年芸術学科卒 春風亭正太郎

大学4年時の高座

真打昇進宣材写真